発達障害の子供の育児、療育、学校生活について書き綴ったメルマガ「のーんびりんぐ通信 69号」のバックナンバー(抜粋)です。
前回は中学一年生になってからのお話をさせていただきました。
今回は、三歳の頃まで遡ってみたいと思います。当時は正解が分からずモヤモヤ状態で過ごしていましたが、今となっては懐かしい思い出です。
息子は、三歳で幼稚園に通い始めました。そのころ、仲良くなったお母さんたちと育児の話をしながら、お茶やランチに行くことがありました。区の支援センターにいらっしゃる心理士の先生に療育も兼ねた相談をさせていただいていましたが、まだ発達障害の診断は受けていませんでした。
ある日、他のお母さんたちと話していた時のこと、「うちはすぐにこれ買ってーと言われるから一緒に買物行くと大変なんだよね」「うちはおもちゃ欲しいって駄々こねて買い物つかれちゃった」という会話がありました。
そこで違和感を覚えたのです。そういえば、うちはそんな悩みとは無縁だわ!なんて親孝行な息子よ!えらい! て違う違う・・・何かを欲しがることが全くなかったのです。
親としては楽ですが、単に物欲がないだけで終わってはいけない気がしたのです。
これまでおもちゃを買い与えることはありましたが、親が選んでいるので、息子が欲しがったわけではありません。息子からの「欲しい発信」を聞いたことがないのです。他のお母さんが羨ましくなりました。うちも、駄々こねるぐらい〇〇欲しいって言って欲しいなあとさえ思いました。
ど素人の発想で、思い立って息子を連れておもちゃ売り場に行きました。何も言わず、息子が好きな電車コーナーをかなり徐行。息子は電車を見ながら、これ〇〇だ!とか言いながらキラキラしていましたが、いっこうに「欲しい発信」はありませんでした。
そこで母が一言、「いつも買ってあげられるわけではないけど、欲しいと思ったらこれ欲しいって言ってもいいんだよ」と。伝わったかどうかは定かではありませんが、息子から「はーい」と返事が返ってきました。よし、気長に行こうと徐行モードを続けながら、売り場歩きを再開させました。
結局この日は、「これ買って」を聞くことができませんでした。それ以来、買物に行く時は毎回、「いつも買ってあげられるわけではないけど、欲しいと思ったら、これ欲しいって言ってもいいんだよ」と声をかけるようにしました。
物を買って欲しいと言って欲しい、こんな悩み変かなぁと思いつつも息子から聞きたかったのです。
しばらく、変化のない状態でしたが、三カ月ぐらいたった頃に家族で動物園に行きました。
その時もショップで同じ声掛けをすると、少してから息子がキリンのぬいぐるみを持って、これ欲しいと言ってくれたのです。
本当に息子が言ったよね? 嬉しくて跳びあがりそうでしたが、真相を確かめるべく、息子にどうしたの?と聞いてみました。(母、いじわるです 笑)するとはっきりともう一回聞かせてくれました。これ欲しいと。さすがにもう一回聞いたらあかんやろ?!と三回目は我慢しました(笑)。
きちんと欲しいと表現してくれたことで、息子の成長を感じられました。その後も母はニヤニヤしながら、動物園を楽しみました(笑)。思い出のキリンさんです。今も大切に持っています。
これ以降も買い物の度に声掛けをしていくと、時々「欲しい」が出てきました。駄々をこねるまではいかなかったですが、そこまでを望むのはもうやめて一つ課題をクリアしたと思うことにしました。そして声掛けも終わりにしました。
成長するにつれて息子の物欲は、ゲームソフトやNゲージへと発展し、サンタさんやお年玉で満たしていくことになります。
思い返せば、大した話ではないかもしれませんが、当時は真剣に悩みました。母の余計な心配だったということで締めたいと思います。
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